ジオストームとは
カタチアルモノ、スベテハカイセヨ…。アイレムがゲームセンターに遺した破壊の美学 ジオストームは、1994年にアイレムがアーケードゲームとして最後にリリースした、全方向スクロールタイプのアクションシューティングゲームです。 アイレムの後期作品といえば、海底大戦争などの芸術的とも言える美しいグラフィックが特徴的ですが、このジオストームもまさに有終の美を飾ったと言っても過言ではなく、その美しく極限まで書き込まれたグラフィックの数々は、今のポリゴンが主体となってしまったゲームと比べても色あせることはありません。 また、プレイヤーキャラの2丁マシンガンを駆使した独創的な操作感や、超絶的な火力がもたらす爽快感などは非常に優れており、アクションゲームとしての完成度は折り紙付きです。 ただ、当時のアイレムの事情こそ知りませんが、一部のシステム(人質救助が後半になるにつれインフレがひどくなり、最終面に行く前なのに簡単に勲章ボーナスがカンストする)の練り込みの足りなさや、制作時間の都合からかエンディングも存在しません(出回りも異常に少なかった。でも、ロケテストはやっていた)。 ほぼ全ての楽曲が同社作品のエアデュエルの曲をアレンジしたものがそのまま採用されているのも、ロケテスト時に作られた曲をそのまま流用したのでは? と思わせられます(全7曲中、オリジナルと思われるのはステージクリア曲のみ。後は全てエアデュエルの曲のアレンジ)。ただ、そのアレンジが非常に秀逸で、この作品の世界観にフィットしているのも事実ですが……。 また、作品全体にちりばめられたキーワードなどから、同社作品であるアンダーカバーコップス、海底大戦争などに登場する悪の組織DAS(デストロイ・アンド・サツジンの略)との関連性もにおわせるのですが、そういった説明も一切無し。 これは確証ではありませんが、上記のようなどこか未完成感が漂っている作品でもあります。ストーリーなどがつけば、きっと世界観に広がりを持たせることもできたと思いますので、非常に残念です。 このゲームを作ったスタッフは、後にメタルスラッグなどを制作したと言われていますが、そういわれてみると確かに共通点が非常に多いことに気付かされます(一撃死するプレイヤー、乗り物や弾数制限のある武装、同じ姿をした人質を救出、人質と一緒に戦う演出、グラフィックの質感など)。 ゲームとしての完成度は、恐らくメタルスラッグの方が上でしょう。ですが、個人的にはジオストームの荒削りながらも爽快感溢れる作りや、テンポの良さなどから、この未完の大作に軍配を上げてしまいます。 メタルスラッグは今でも続編が制作されている息の長いシリーズものなので、ファンの方も多いと思いますが、同作の源流とも言えるこの作品にも触れて頂ければと思います。 |
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